公認会計士・山田真哉氏に聞く「個人事業と給与の違い」 確定申告の生相談・第0回(前編)

160万部のベストセラー『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光文社)などの著書もある、公認会計士・山田真哉氏が、YouTube Liveで確定申告に関するアレコレに回答しています。

所得税の事業所得や給与所得などの違い

Q:個人事業主なので確定申告が青色と白色両方やるので、そのへんの話が聞きたいです。

山田:そこからいきましょうか。せっかくホワイトボードをダイソーで買ってきたのでこれを使いつつ。

Q:順番逆パターンで自営からサラリーマンに戻ったんですが、青色申告にぎゅっと合算すればOKですか?

山田:なるほどね、そもそもの話をしていいですか? 所得税って、一番難しいんですよ。はっきり言いましょう。税理士試験科目でも、所得税を受験している人はちょっと変態と思われるくらいに難しいんです。

なんで難しいかというと、所得税って、人間の個人のあらゆる行動に税金をかけようという発想なので、あらゆる活動を全部想定しているんです。例えば事業、これ個人事業主って、個人の事業やっている人は「事業所得」なんですよ。

他にも、いや自分は事業じゃないです、サラリーマンです、もしくはパートです、アルバイトです、などなど、雇用契約に基づいて入ってくる収入は全部、「給与所得」です。

「自分なんか親からもらった土地があって、そこから家賃入ってくるんですわ」といったら「不動産所得」。

「家買ったんですけど、それ売ったんですよ」というと「譲渡所得」、といった感じで、全部で10個あるんです。

10個全部覚えなくていいんですけど、皆さん関わってくるのって、「いやどれにも入らないっすわ」という「雑所得」。

で、やれ青色だ、やれ白色だって言っているのって、基本的には「事業所得」とか「不動産所得」の話です。

不動産所得で青色って、実はちょっとなかなかハードル高いので、だいたいの場合、青か白かっていうのは、この事業所得だけの話です。

だから会社員で青色、白色知らないっていうのは当たり前ですね、関係ないから。

先ほど質問であったんですけれど、給与所得と事業所得って全く別の所得なんです。例えば今日も、午前中役者さんの方が個人相談に来ました。その方はアルバイトしてるんですが、給与はだいたい年収200万くらい。給与が200万。でも役者やってるので、役者ってだいたいこの事業所得はマイナスになっちゃうんですね。

特にお芝居、小劇場とかやっていると、収入は100万だけど経費が200万くらいあります。そうすると、事業所得−100万なんです。

これどうなるかっていうと、最終的に相殺できるんです。(給与200万円と)相殺して、100万円に対して税金がかかる。という話です。

Q:自営からサラリーマンに戻った場合はどうなるでしょうか。

山田:これ、(事業所得の)青色申告に、給与所得を合算で出せばいいんです。

給与と事業所得は全く別個の話なので、別に青色で給与所得があってもいいし、白色で給与所得があってもいいです。関係ないです。(事業所得が)マイナスでも経費を計上できます。マイナスで経費にできるのは、事業所得のいいとこ。

お仕事していて毎年毎年黒字とは限らないわけじゃないですか。赤字のときもあるよね。だから赤字でも別にいいんです。マイナスでもいいです。

だから役者さん等の場合、このパターンが多い。事業がマイナスになって給与がプラスで、相殺して、税金安くなるね、と。

給与所得のときに引かれている源泉所得税が返ってくるね、という感じはよくあります。

どんな所得でも相殺できるかというと、そうじゃないです。例えば雑所得は相殺できない。

雑所得は、例えば会社員だけどコミケにサークル参加してちょっとだけ赤字が出ました、という場合。いわゆるアマチュア収入みたいなのが雑所得なんです。雑所得は相殺できないというルールがあるので、コミケでどれだけ赤字を出そうが相殺できないんです。

これがコミケだけじゃなくて、各地でおこなわれている、コミケのミニ版みたいなイベント。そういうイベントでの販売もずっとやっていて、営利性・継続性があった場合は、「これもう事業だね」と言えるので、そのとき(事業所得として)赤字が仮に出たら相殺できます。

青色申告と白色申告

山田:で、青か白かの話を全然してないですけど、これ、ネットでググっても分かりづらいと思います。

すごい簡単に言うと、白が普通なんですよ。青がちょっと特別です。だから白バッジ、青バッジみたいなものだと思ってください。

Q:コミケで黒字出しても、じゃあ特に申告は必要ないんですか?

山田:利益出たら申告してください。納税の義務が発生します。利益が出てなくても申告したほうが本当はいいんですけれども、なんでしないかっていうと、利益出ていなければ国も税金を取りようがないので、あまり国が何も言わないっていうだけです。

日本国民は、憲法で納税の義務があります。なので、全員一応申告するのが大前提でございます。

コメント:青色は税金が安くなるけど、帳簿とかが面倒な感じですよね。

山田:そのとおりですね。今ちょうどうちのお客さんが出ている『まんぷく』っていう日清食品の安藤百福さんの自伝みたいな朝ドラがあるんですが、僕のお客さん出ているから観てるんですけど、あの戦後のドタバタの時代の税務当局と戦うっていう話に差し掛かっています。

まさにあの時代が分かりやすくて、昔は誰も帳簿をまともに付けてなかった。昔のお店やっている人っていうのは、一応帳簿付けるんだけど、税金払いたくないからわざと売り上げを抜いたりとか、経費多めにしたりとか、架空の人件費作ったりとか、そんなのばかりだったんです。

で、それじゃあ日本の混乱期、税収少しでも欲しい時期に税金取れないねと。だから取りあえず強制的にお金を取っていったんだけど、そうするとますます大混乱したわけです。

そこでGHQが何を考えたのかというと、やっぱり民主的にやろうと。皆が自主的に帳簿を作るような制度を作ろうと。そこで生まれたのが青色申告なんです。だから青色申告は、帳簿を作ろうっていう目的のもと、できています。

じゃあどういうインセンティブがあるんでしょう? 帳簿を作ると、その代わりに青色は「最大65万円控除」といって、(所得が)65万円減るんです。

また、(購入した物品が)30万円未満のものだったら全額経費にしていいよ、資産にしなくて、減価償却しなくていいよっていう特典があります。

基本的に税理士とかに依頼する人は、どちらにしろ税理士が帳簿を作るので、青色申告やったほうが有利です。個人の方の場合は、じゃあ白だったら帳簿を付けなくていいかっていうと、そんなことなくて、3年、4年前かな? 白色でも帳簿を作りなさいというルールになったので、青と白の差って、今ほとんどないです。

だから取りあえず青色申告の届けだけ出しておいて、強いて言うなら白のほうが若干、「白だから仕方ないか」って、優しく怒られる。青だったらめっちゃ怒られるみたいな、それくらいの違いです。

結局変わらないっていうのが、現状です。ほとんど差がないです、今は。だったら青色やればいいかっていうと、税務署が求めてくるレベルも上がってくるので、個人的には赤字の人、事業所得が赤字とか、利益がちょっとしかないっていう方の場合は白でいいと思います。

所得がおよそ100万円を超えている人は青色いいんじゃない、という話をしています。

後編に続く。

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