ライブには世の中を変える力がある

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飯田会長は「2つの矛盾してる才能がおもしろい」 株式会社ライバーCEO市川茂浩インタビュー<上編>

2019.02.078:30
ライバーネット編集部

株式会社ライバー代表取締役CEO市川茂浩

株式会社ライバー代表取締役CEO市川茂浩に話を聞きました。取締役COO深水英一郎も同席し、上編では自身の歩みや業界を取り巻く環境、取締役会長ファウンダー飯田祐基の人となりなどを語っています。

――釣りが好きだそうで。毎日釣りをやってた時期もあるとききましたが。

市川:趣味の釣りは、40年ぐらいやってて。30歳代は何も顧みずに仕事をしてきたので、胃腸が壊れて。今は治ったんですけど、館山で2年間、釣りをしていたんですよね。

――療養のために?

市川:療養のためと理屈をつけながら、理想の遊び生活をしていたわけです。一応、ファンドを経営していたので、成績がいいときは入っていたんです。問題は「成績がいいときは」という話なので、成績次第で自分の釣りライフが左右されたので。ずっと館山で生活するのは無理だなと。……と、思っていたら、芸能界によばれたんです。もともと、最初の会社は動画配信の会社だったので、そこで芸能界の人といっぱい知り合って。今の事業部長の丹下さんも、そのときに知り合ったし。芸能界というか、音楽業界の人達ですね。最初、音楽配信サービスをやって、それから動画配信サービスをやっていました。そのとき、アニメの配信もしたし。

――そういう、つながりが。

市川:メディア業界とのつながりは、そのときにできて。そのあとファンドをやったりして、1回お休みしていたけど。2年ぐらい釣りしていたら、腕の太さが今の倍ぐらいになって。茶色い顔でやっていたんです。2年経って、芸能プロダクションの仕事でよばれて。そこで役員をやって、またエンターテインメントに復帰したという。

――そうだったんですね。

市川:ITもやっていたんですが、エンターテインメントの知り合いが多かったんで、両方跨っていたんですよね。両方跨っていて、金融もやっていたから、お金のこともわかって。三拍子揃ってくると、ライバー社っぽいじゃないですか。ただ、自分はYouTuberやライバーじゃないので、自分も40歳を超えて、自分で何もかもやれる気がしなくなって。自分が表に出るのは無理だと思って。エンタメ業界でもよくいわれるんですが、40歳で現役感覚がなくなるんです。マーケティングとかも。特に10代、20代の気持ちが、人づてに聞かないとわからなくなる。人づてに聞かないとわからないなら、会長の飯田さんに聞いたほうがいいだろうし。

――ライバー社って、飯田さんが若くて、周りにしっかりした大人がたくさんいますよね。スタートアップベンチャーだと若くて同世代がぎゅっと集まっている、という印象なのですが、それとは違ってて、私、びっくりしたんです。

市川:しっかりしているか、わからないですけど。まぁ、自分では若いと思っていますが(笑)。でもなんだかんだ、年の功というのもあって。僕も6社ぐらい会社を作ってやっていたので、芸能、ITもやって、その中で清算した会社もあれば、残っている会社もあれば。最初の会社は、今も残ってるんですけどね。

いろいろな会社をみてきて、特に芸能の人達をみてきて、芸能の人達って急に儲かって、急にバブリーな生活をして、急に困るようになることがあって。そのときに学んだことのひとつが、「調子のいい時期と悪い時期の両方を見据えた経営をしなきゃいけない」ということですね。

自分としては、そのへんのバランスを取る役に収まっていることが多くて。僕は30歳で起業してお金もベンチャーキャピタルから集めたりしました。IT業界はアメリカナイズされていますよね。だから、横文字が多かったりするけど、基本的には経営者が多く出てくる業界です。アメリカ流の経営に憧れている人達が多かったりするから、勉強する人が多かったのかもしれないですね。そういう人達が経営してきた感覚と、エンターテインメントの人達の感覚は全然違っていることもあって。いちばん違うと思うのは、仕組化、組織化のところですね。

ITはITで感性が弱かったりお客様のインサイトがわからなかったりすることがあるのでどっちが優れているということじゃないんですが、お互いに学ぶ面もあるなと。お金の使い方ってバブルになりがちで。稼いだんだから使う権利もあるだろうが! とは言うものの、できれば経営としては組織を大きくしたほうがいいと思っていて。従業員のためにもなるし。でも、いろんなことは勉強になりました。エンターテインメント業界とITを比較すると。

――全然、違うものですか。

市川:違いますね。

深水:エンターテインメント業界は、一気にすごく儲かって。そのあと、お金がパンとなくなっちゃうイメージがありますが(笑)。どこにいっちゃうんでしょう。

市川:みんな、消えちゃう。でも、それとは違って管理がめちゃくちゃしっかりしている人もいて。この違いは、現金を大事にしているかどうかだと思います。さっき、とある売れているアーティストにもアドバイスしたんですけど、成功するときはいろんな人を信用するんです。信用しないと友達ができないし、仕事が広がらないし、成功しないんです。だから、そのときに成功した要因が「人を信用する」ということだけど、人を信用してお金を全部預ける。それで、自分が陰ったときに、みんな裏切るんだよね。裏切るというか、関係性が変わるんです。売れていたからいうことをきいてくれていた人が、だんだん対等な取引を要求するんです。そうすると、この人達にお金や権利を預けていると、だんだん自分のお金が少なくなってくるんです。このへんがあって、ビジネスの主導権を他人に渡す人が、結構多かったんだろうなという気がします。

――なるほど。

株式会社ライバー代表取締役CEO市川茂浩

市川:だから、意外と現金管理が大事。これ、経営的にはキャッシュフロー経営というんです。経営の考え方は、昔からそうで。トヨタが戦後に危機があって。有名な話ですよね。そのときとある大手銀行が貸してくれないだけでなく貸しはがしまで行って経営が行き詰まりそうになったんです。それ以来、無借金経営を目指すようになったといわれています。銀行が貸してくれなくても自分の城を自分で守る、つまり自分が銀行になる。「トヨタ銀行」と、よくいうじゃないですか。下請けに自分が貸し付けられるまでの財務強化をやったわけです。おもしろいのは、割引手形ですよね。自分達がキャッシュを先払いしてあげるから、何割か値引きさせるんです。

――現金管理が経営の肝というわけですね。

市川:お金があると、最強の経営ができるんです。現金をもっていたら強くて。現金の管理、キャッシュフロー経営、財務系の考え方と調子がいいときの伸びる考え方は少し違うところもあり、そのへんを両立しないといけないと思うけど、できている人はなかなかいない。うまくいってるところは、いい大番頭がいるんです。

アミューズさんとか傍からの印象ですけどうまくいってるなと。だから、アミューズさんの上場のときをリアルタイムでみていましたが、株主総会に福山さんが出てくるのは格好よかったです。ちなみに、今やUUUMさんが同じぐらいの株価になっている。時代が変化するもんだなと思います。UUUMさんはGoogle依存が強いですね。ただ、その仕組みを維持するマネジメント陣は、すごく優秀だと感じます。役員が多くていろんな業種から引っ張ってきている。

――IT、エンタメだけじゃない。

市川:違いますね。証券会社、広告代理店からだったり。全然関係なくは、ないですけど。最近テレビ業界からの人も多そうだし、金融系も多そうですね。ITゴリゴリもいる感じだし。だから、分散できている感じはあります。あと、お金の管理は強かったんじゃないですか。野村證券さんから来た役員がいますよね。

――じゃあ、お金の管理がうまいんですね。

市川:そのように、あとから調整することもできます。うまい経営の後継者って、なかなか作れないので。ライバー社は、飯田さんが頑張ってそういう会社を作ったように見えます。ライバー社は客観的にみて、経営陣の布陣がいいとよくいわれます。飯田さんが、経営者をうまく集めることができたんでしょうね。

――今、私もそれを聞こうと思いました。なぜ、飯田さんは人脈があったとお考えですか。

市川:自分も含めてそうですが、やりたいことがはっきりしている人は、結構強いです。だから、例えば僕の最初の会社では「テレビを携帯で倒す」みたいな話を出していたんです。もちろん、反論されたこともあります。ただ、はっきり言っていると、お金も人も集まってきました。景気がよかったのもありますが。

飯田さんの場合、インフルエンサー、ライブ配信者なり、ネット発の人達にとにかく還元したいという思いが強いです。そこを支えたいという思いが強いから、わかりやすいですよね。彼らを利用してやろうという人は多いけど、彼らと同じ目線で彼らを支援したいというのは、あまりいないですね。担当レベルではそういう人はいるけど。若い業界なせいか、お互いに利用し合う関係が多かったりするので。飯田さんは、お仕着せでなく純粋にそう思っている感じで。クリエイターのためにということで。もちろん、自分もクリエイターだったから。

もうひとつ、飯田さんはそろばん勘定がしっかりしているんです。おそらくですが、成功しても浮かれにくいタイプだと思います。まぁ上場したら、どうなるかわからないけど(笑)、僕がみていた限りでは、大丈夫そう。

深水:飯田さんは、ちょっと心配性ですよね。それがちょうどいいのかなという気がします。

市川:そうですね、心配性なんでしょうね。僕的にいうと、そろばん勘定ができるタイプ。常に、はじいてる感じがするけど。どうして、そうなったのかは不思議なんですよね。親の影響もあるのかもしれないですね。

――確かに、親が自営業や経営者だとその子どもはそれを見て育つわけですよね。

市川:僕、経営者が育つ土壌って「親が経営者であること」と、いっちゃうんです。会社設立のとき、インタビューを受けたんですけど、「どういう人が起業したらいいですか」って。「いやあ、親が経営者なら起業していいですよ」って答えました(笑)。

――勉強して体得するのはなかなか大変だろうということですね。

市川:元も子もないことをいいますが。それを独りで勉強するのは大変だよという意味なんです。僕の親の世代だと、電卓とそろばんなこともある時代。僕は父親が53歳のときの子どもで、父親は戦前の経営者だったから、父親がいつも朝の3時、4時までずっと電卓を叩いて書類を作っているのをみていたんです。毎日やっていました。あれをみていて、会社って計算が大変なんだ、みたいな。計算をちゃんとしないと、ヤバいんだなと。いつも釣りばかり誘ってくれる親父だけど、ものすごい数字の管理をどんどんやっていて。簡単にいうと、数字の管理、お金の管理を部下に任せないタイプです。結局、こういう人が成功すると思うんです。いろんな考え方があって、お金の管理なんて得意な人に任せればいいというのがあるけど、経営の考え方だと経験則で、基本的に自分でお金の管理ができる人しか成功しないと思ってます。自分でできるけど、あえて人に任せている人も成功する。でも、最初から自分でできない人は、周りに自分の金が移動して制御不能になる。

――お金がなくなっちゃうんですね。

市川:どこにいったか、わからなくなる。飯田さんは、自分でお金を管理できるタイプだと思います。ただ、どちらかというと、飯田さんはタレント、クリエイター、ライバー寄りの要素が強いし、営業も得意なので。わかったうえで、それを信頼できる経営陣と分担するっていう役割分担がいい。彼と一緒にやっていきたいと思う理由ですよね。エンタメ業界で人脈が多い人はたくさんいますが、金勘定をあれほどちゃんとしてる人はなかなかみたことがないです。

――そうなんですね。

市川:2つの矛盾してる才能がおもしろいです。

――今まで、いろいろなクリエイターさんとお話ししましたが、ゲーム実況やツイキャス配信で人気の「平田くん」も、大人に搾取されたくないという気持ちが強いとおっしゃってました。「絶対にだまされないぞ」と。

市川:記事に出てましたね。いろんな思惑がありそうな発言ですね。

――飯田さんには、そういうのを感じなかったと。まだ信用しきっていないけど、飯田さんだけはそれを感じないと。事務所に入ろうと思ったのは初めてだったと、おっしゃってました。

市川:そんな感じありましたね。この人なら信用できるというのは、その人の人間性なので。僕も、飯田さんは裏切らないタイプだと思っています。話の食い違いはあるとしても、裏切らないタイプですね。うちの会社、特徴があって。役員もそうだけど、メンバーもそうだし、管理職になるほど誠実さ、嘘をつかない。誠実は盛りすぎかもしれない。でも、嘘が嫌いな人が多いと思って。エンターテインメントの業界の中でいろいろあるけど、お金を扱う部分で嘘をつかないというのは大事です。さっきの話につながってくるけど。嘘をつかない、お金の管理をちゃんとしている、そのへんが大事な要素だと思います。テクニックはいっぱいあると思うので、企画力、行動力がすごくある、おもしろいことが突然いえるとかありますが、そういう人達が集まっても土台は崩れない会社であったほうがいいと思う。そういう意味で、オヤジっぽい会社なのかもね。飯田さんも含めて、ちょっとオヤジっぽい会社かも。

――年齢は若いけど。

市川:そう。あまり若くないカルチャーがあるかもしれないです。「年を取った、ちゃんとした人がいますよね」のイメージで、よくいわれるので。

(インタビュー中編に続く)

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