ライブ配信には世の中を変える力がある

ライブ配信には世の中を変える力がある

自らゲーム実況した時代から月間アクティブユーザー200万人まで成長 『OPENREC.tv』を手掛けるCyberZ取締役青村陽介氏インタビュー
2019.04.035:00
ライバーネット編集部

月間200万人のアクティブユーザーを誇り、ゲーム実況やオリジナル番組、eスポーツ大会の配信が楽しめるゲームライブ配信プラットフォーム『OPENREC.tv(オープンレックティービー)』

先日はサイバーエージェントが運営するライブ配信サービス『FRESH LIVE(フレッシュライブ)』との統合を発表し、ライブ配信市場でさらなる勢力拡大が期待されます。

そんな『OPENREC.tv』を手掛け、2015年から国内最大級のeスポーツ大会『RAGE(レイジ)』を運営しているCyberZのキーパーソン、取締役の青村陽介氏にインタビューし、『OPENREC.tv』の成長過程と今後の展望を聞きました。

動画キャプチャーの開発から始まった『OPENREC.tv』

――青村さんがCyberZに入社されたのは、いつ頃でしょうか。

青村:2009年にサイバーエージェントに入社して、最初は別のグループ会社におりました。CyberZに入ったのは2010年からです。5年間ほど広告代理店の営業を担当して、それから『OPENREC.tv』に携わっています。

もともと広告代理店の営業時代からゲーム関連企業との取引が多かったんです。社内にもゲームに詳しかったり、大好きな人間が多くおり、ゲームに関連した事業をやりたいという思いが強くて、新しくサービスを立ち上げることになりました。

――ゲームに関連した事業を立ち上げるうえで、配信者向けのプラットフォームを選択したのはなぜですか?

青村:実のところ、当初は現在とは別の形でスタートしておりまして、どちらかと言うとモバイルアプリに搭載するツールとして開発していたんです。ゲームアプリに弊社のシステムを搭載すると、ゲーム実況の動画が簡単に録画できて保存できる仕組みをつくっていました。いわゆる動画キャプチャーのサービスですね。それを開発していたんですが……赤裸々にお話しすると、開発段階でAndroidに標準でその機能が登場してしまったんです。ご存知の通り、その後はiOSにも。

――それが方向転換のきっかけになったんですね。

青村:ただ、我々としてはゲーム実況というジャンルがアツいと感じていたので、だったらメディアにしてしまって、そっちを頑張っていこうと。それが2015年くらいで、僕が『OPENREC.tv』に参加したのが2016年のことです。ずっと社内でも注目していて、注力していた事業でした。

リリース初期は社員が配信していた

――『OPENREC.tv』がリリースした直後からサービスとしては好調だったのでしょうか。

青村:いえ、かなり紆余曲折で、ライブメディアを立ち上げたものの、ほとんど誰も配信していない状況が続きまして……。だから、まずは自分たちでプレイ映像を配信してみたり、配信者の気持ちになって考えるところからスタートしました。

――青村さんも配信していたんですか?

青村:私もやりました。コスプレをして、『スーパーマリオメーカー』をプレイしていました。ゲームのプレイ画面より自分たちの姿を映した画面の方が大きかったりして、社内の人しか視聴してなかったんですけど、「何も分かってないな、ゲームのメディアだよ?」って(笑)。本当にそんな初歩的な部分からスタートしました。

――徐々にユーザーが増えてきたと実感する時期はありましたか?

青村:『スプラトゥーン』のライブが盛り上がったのは、ひとつの転機になりました。我々のサービスは画質を最優先に開発していたので、動きが速く、色も多彩な『スプラトゥーン』を楽しむうえで非常にマッチしたんです。それがファンに受け入れられたことで、ようやく一歩が踏み出せたと思います。そこからコミュニティが広がっていって、配信者さんが多く来てくれるようになりました。

――画質にこだわったのは、なぜなんでしょうか。

青村:全員共通の考えとして、ゲームのプレイヤーは格好良いよね、というのがあって。ちゃんとその格好良い部分を見せたい、というのが、最初からずっと今まで続くコンセプトなんです。見栄えの良さだけでなく、配信者さんのアツい思いみたいのをしっかり伝えるには、まず画質が最も重要だと考えていました。

配信者の声を集めてサービス改善に繋げる

――ユーザーの声はどのように集めているのでしょうか。

青村:なるべく自分で現場に足を運んで意見を聞くようにしています。例えば、『RAGE』というeスポーツ大会を運営しているので、選手との懇親会などの場でも実際に利用している人たちの意見を集めています。例えば新着のライブが上に表示されるようにしたのはそういう情報収集の結果が反映されているんです。そのような形で情報を集め、いろいろと改善を加えています。改善に関しては、すぐに出来るものとそうじゃないものがあるので、心苦しい部分もあるのですが。ただ、求められているものはリストアップしているので、あとはどのように提供していくか、という状況ですね。

――配信者さんがいる現場に初めて足を運んだときは、どのような感想を持ちましたか?

青村:びっくりしました。まず、ゲーマーさんの名前がみなさん不思議だったので、その由来などから聞いたり。なぜ配信を始めたのか、どのくらい有名になりたいのか、どのくらい稼ぎたいのか、そういったコアな部分も質問させていただいて、徐々に人柄も知っていきました。

ズバッと改善点を指摘してくれる方もいれば、内に秘めたものをなかなか表に出さない方もいます。面白いのは、ゲームのジャンルによって、タイプが異なる傾向がある、というところですね。格闘ゲーマーは直感的に話してくれる方が多いです。一方、TCG(トレーディングカードゲーム)のプレイヤーは先の一手を考えながら話を進める方が多いように思います。失礼かもしれないですけど、控室の様子も違うんですよ。イベントが終わった後に格闘ゲーマーの部屋は散らかっているのに、TCGのプレイヤーはきっちり片付いていたり(笑)。

――なんとなく分かるような気がします(笑)。どういった配信者やクリエイターに注目していますか?

青村:『OPENREC.tv』から生まれたよね、と言われる配信者が多く出て来て欲しいと思っていて、そこに力を入れているんです。なので、ゼロから始めてくださる人でも良いですし、他のサービスから移って来て大きく成長した人でも。『OPENREC.tv』出身で有名になったと言われる人がどんどん出てくる土壌を整えていきたいと思っています。

他社のサービスと比べて、機能の差とは真摯に向き合いつつ、サイトの作り以外にも、その周辺にある対応だったり、番組だったり、ビジネスだったり、そういう部分をおろそかにせずに、全体としてゲーマーさんのアツい思いに応えられるサービスになっていきたいです。

ゲームが不得意でも配信を楽しんでほしい

――注目しているゲームタイトルや、注力していきたいジャンルはありますか?

青村:面白い新作ゲームが沢山でてきていますが、『スマブラ』と『Apex Legends』は配信も盛り上がっていることもあり注目しています。でも、どんなタイトルをプレイしても大丈夫というムードにしていきたいです。『スプラトゥーン』、『シャドウバース』、『ストリートファイター』などをメインに、配信しているタイトルの偏りが多いという指摘はあるので。もちろん、盛り上がっているタイトルは大事にし続ける前提で、それ以外の方々も居心地良く感じてもらえるようにしたいです。

その意味でいうと、PCや家庭用ゲーム機はもちろん、今後はモバイルゲームの配信に裾野を広げていきたいと考えています。先日の『RAGE』でも『PUBG MOBILE』や『ブロスタ』のオフラインイベントを開催して好評をいただきました。モバイルゲームのeスポーツ市場は今後さらに盛り上がっていくと思いますので、その流れで配信の規模もスケールアップさせていきたいです。

昨年あたりから引き続き、特にバトルロワイヤル系のゲームがトレンドをけん引していくはずです。国内ゲーム人口の大半がモバイルゲームをプレイしていると考えると、PCや家庭用ゲーム機で培った手ごたえをベースに、戦略をモバイルに拡大していく必要があると計画しています。

――これから『OPENREC.tv』を利用する人に向けて、サービスの強みをアピールするなら?

青村:機能的な面で言うと、画質の良さや、コメントが読みやすいなどのデザイン設計、他にもスタンプが楽しいなど、トータル的に使いやすい作りになっています。あとは、制作の能力もあるので、コンテンツや番組作りにも力を入れています。『FRESH LIVE』と統合して……まだ言えないことが多いですが、いろいろと新しい動きもあるので、期待いただけると嬉しいです。

加えて、広告マーケティング事業を主とする弊社の強みとして、ゲームメーカーさんとの連携をさらに強化していく予定です。過去には例えば、『シャドウバース』のオフラインイベントの来場特典だったり、勝敗予想の結果に応じた特典として、ゲーム内アイテムをユーザーに配布する取り組みを行いました。ファンに喜んでいただけるようなアイテム連携などを、いろんなゲームメーカーさんとたくさん取り組んでいきたいと思います。

――ゲームのコミュニティプラットフォームという姿勢は、これからも変わらないですか?

青村:そうですね。やはりその姿勢で伸ばしていこうと思っています。これまではトップの配信者やプロゲーマーをより格好良く見せるための方法を追求してきました。今後はもっと裾野を広げて、ゲームが不得意だったり、ライブ配信で喋ったことがない人でも配信を楽しんでいただけるような空気を作っていきたいと考えています。もちろん、上級者っぽいイメージを支持してくださっている方も大切にする前提の話ですが。変な話、実況が下手でも面白い動画っていっぱいあるじゃないですか。むしろ、それが魅力だったり。いきなり『OPENREC.tv』で配信しちゃいけないんじゃないか、という不安を和らげて、いろんな方が入ってきていただけるように、開発を進めていく予定です。

――あらゆるゲーマーに対して楽しみ方の裾野を広げ、コミュニティを拡大していくということですね。

青村:各国の無料アプリのダウンロードランキングを見ると必ずと言って良いほど『Twitch』がランクインしていますし、中国のゲーム動画配信市場を見ると、「Huya(虎牙)」が2018年にニューヨーク証券取引所に上場して一時1兆円の時価総額にリーチし、もうひとつの巨大企業「Douyu(斗鱼)」も上場間近と言われています。

ゲーム配信プラットフォームの成長は世界的に見ても顕著ですし、我々はこれまでの取り組みによって国内で良い位置につけていると思うので、ユーザーに支持していただけるものが提供できれば、日本を代表するコミュニティプラットフォームを確立できると確信しています。

――なるほど。本日はありがとうございました!

―了―

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